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【ローマ人の物語3】海軍国カルタゴを打ち負かす

文庫版「ハンニバル戦記(上巻)」です。長靴のつま先に浮かぶシチリア島の完全制覇をめぐってのローマとカルタゴの戦いである第1次ポエニ戦役が描かれています。当時最強の海軍力を誇ったカルタゴを、なんとローマ軍が打ち負かしてしまうのです。そこには海上戦を陸上戦に変えた「カラス」のアイデアや、全権を委ねられた将軍(執政官)の戦い方など、ローマ人の英知を垣間みることができます。

p69 象の恐怖を克服したローマ人は、海への恐怖も忘れつつあった。

近代戦では「戦車」にあたるカルタゴ軍の象を制し、嵐による海難事故という辛い経験をしながらも、シチリア戦線打開のために策を練り、200隻の軍船を新造してあえて海戦を挑んでいったのです。

p63 敵方の捕虜になった者や事故の責任者に再び指揮をゆだねるのは、名誉挽回の機会を与えてやろうという温情ではない、失策を犯したのだから、学んだにもちがいない、というのであったというから面白い。

敵国カルタゴの将軍が、戦いに敗れて極刑に処されるのとは対照的に、ローマの敗将は罰金刑どまりというのが意外でした。失敗を責めることよりも、次への教訓とするという、戦争に対するローマ人の考え方がよく表れている部分だと思います。どこかの組織のように、経営陣が引責辞任することですべてが済んでしまう訳ではないので、逆にある意味では厳しさが求められているといえましょう。また、軍の総司令官である執政官に対し、いったん任務を与えて送り出した後は、元老院でさえ何一つ司令を与えないし口出しもしないという決まりも、この時代にして、すでに権限委譲(エンパワメント)が根づいていたとするなら驚きです。新しいアイデアやチャレンジを是とする考え方が、システムとしても機能していたということでしょうか。

23年もかかってようやく講和条約を結び、ひとまずはシチリアからカルタゴを退けることに成功したローマでした。

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[ 新潮文庫 ] 読者へ 序章 第1章 第一次ポエニ戦役(紀元前264年〜前241年) 第2章 第一次ポエニ戦役後(紀元前241年〜前219年) [続きを読む]

受信: 2004/11/24 14:02

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