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【ローマ人の物語3】シチリアの統治

前回につづき文庫版「ハンニバル戦記(上巻)」です。第1次ポエニ戦役後、シチリア全域に領土を広げたローマはいかにして異民族を統治したのか。そこには「統治システム」というキーワードがあります。
先週のNHKスペシャル「ローマ帝国」でもこのテーマが取り上げられていました。叙事詩のような塩野氏に比べると駆け足の展開で内容が浅いかな、という感じは否めませんでしたが、被征服民には武力で制圧されたという心情がなく、むしろローマ帝国の一員になったことを市民が誇りに感じていたという解説が印象深かったです。このことからも、人心をも掌握する統治システムだったといえましょう。

p104 とはいえ、異民族統治は誰にとってもむずかしい。ローマ人は、冷静に現実を見きわめた末に、シチリアの統治に適したシステムをつくりあげた。

その一つとして、盟主ローマは各都市に対し、実情に合わせてそれぞれ「ムニチピア」(諸部族)、「コローニア」(植民地)、「ソーチ」(同盟国)のような名を与え、統治関係を樹立しました。これらのケース・バイ・ケースの関係は、あくまでも「区別」であって「差別」ではなかったといいます。そしてこれらの都市には、年貢や租税を義務づけるのではなく兵力の提供を求めたという点が、ローマに秩序と安定をもたらした統治システムだといわれる所以でした。アッピア街道をはじめとする各都市を結ぶ軍事道路の建設について、

p109 ローマ人は、今の言葉でいう「インフラ整備」の重要さに注目した、最初の民族ではなかったかと思う。

というところを読んだ時、今日の情報化社会にたとえるならば、拡張性をもった柔軟な分散型システムがネットワークでつながっていくというイメージが思い浮かびました。拡張性があるからどんどん広がっていく、そして実情に合わせてカスタマイズも許容する、しかし公開されているルール(規格)にはきちんと従うことを求め、守らなければ厳しい制裁を加える、というような統治ではなかったかと想像します。なんと今から2000年以上も前の話です。

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コメント

COZY様。
トラックバックさせて頂きました。アウグストゥスの登場で文庫版もついにローマ帝国誕生ですね。ちなみに私も文庫版を読んでいます。

投稿: ヨシヲ | 2004/11/28 02:12

ヨシヲさん、TB&コメントをありがとうございました。テレビではアウグストゥス登場まで一足飛びでしたが、塩野氏の文庫版ではポエニ戦役に3冊も使ってますね。2回目のNHKスペシャルは所用で見逃してしまったので、再放送で見ようと思っています。
文庫本を3色ボールペン方式で読んでいるのですが、このローマ人の物語については、ついつい緑色の線(個人的に面白いと思った主観部分)を多く引いてしまいます。
またお越しいただけると嬉しく思います。

投稿: cozy | 2004/11/28 22:23

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