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【ローマ人の物語5】ハンニバル敗れる

p80 十四年前にカンネの平原で起ったのと同じ状態が、ザマの平原で再現された。ただし、相手を変えて。

ザマの会戦で若き武将スキピオが率いるローマ軍が完勝しました。しかも、歩兵と騎兵の双方をつかって敵を包囲して全滅させるというハンニバルとまったく同じ戦術で。まさに「ハンニバルがイタリアでやったことと同じことを自分はアフリカでやる!」と公言したスキピオが初志貫徹したわけです。ところで、このザマの会戦には有名な後日談があるそうです。数年後に偶然出会った2人の会話です。
 ス:「われわれの時代で最も優れた武将はだれだとお考えですか?」
 ハ:「マケドニア王のアレクサンドロスだ。」
 ス:「ならば2番目に優れた武将はだれですか?」
 ハ:「エピロスの王ピュロスだ。」
 ス:「それならば3番目に優れた武将は?」
 ハ:「間違いなくこの私自身だ。」
 ス:(思わず微笑して)「もしもあなたが、ザマでわたしに勝っていたら?」
 ハ:「それならば、わたしの順位はピュロスを越しアレクサンドロスを越して1番目にくる。わっはっは!」
 (注:多少演出をほどこしました。^^;)

p53 優れたリーダーとは、優秀な才能によって人々を率いていくだけの人間ではない。率いられていく人々に、自分たちがいなくては、と思わせることに成功した人でもある。持続する人間関係は、必ず相互関係である。一方的関係では、持続は望めない。

親友というものを生涯知らずに過ごしたカルタゴの武将ハンニバル、人なつこく開放的で会った人は敵でさえも魅了せずにはおかなかったというスキピオ。対照的な名将2人の共通点として、塩野氏が挙げた優れたリーダーの条件です。スキピオのほうは何となく分かりますが、少しも打ちとけた感じがなく、追い詰められても孤高を崩さないハンニバルに、なぜカルタゴ兵士(しかも多くは傭兵なのに)は最後まで従い続けたのか。その理由を、天才的な才能をもちながら困難を乗りきれないでいる男に対する「優しさ」だとする見方は面白いと思いました。カルタゴの兵士は、寒さにも暑さにも無言で耐え、休息も惜しんで地べたに眠る大将を気遣い、そばを通るときに武器の音だけはさせないようにしたといいます。さしずめ「サスティナブルな人間関係のためには、あえて弱みをみせることが肝要。」といった感じでしょうか。
以上 文庫版「ハンニバル戦記(下)」より。

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