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【ローマ人の物語9】三頭政治

昔、歴史の授業に出てきたはずの懐かしい響きをもつ「三頭政治」。元老院主導によるローマの共和政は、カエサル、ポンペイウス、クラッススという3者の密約による三頭政治によって、大きな転機を迎えようとしていました。
カエサルの凄いところは、ポンペイウスに加えてクラッススに声がけをしたバランス感覚です。ポンペイウスとの2者連合では、圧倒的にポンペイウスの方が強く、力がつり合わないと考えたカエサルは、あまりに借金が大きいがために力関係が逆転してしまった債権者クラッススを同盟に引き入れます。ポンペイウスとて、自らが制覇した東方の統治には経済界の代表であるクラッススの協力が不可欠という事情もありました。こうして、相互におもり関係にある3者の同盟関係をつくったのだといいます。
しかし塩野氏曰く、カエサルは一つのことを一つの目的でやる男ではありません。三頭政治も、単に目先の私益を追求したがための同盟ではありませんでした。その先には、元老院体制を崩すことによる、新しい統治システムの確立という野望があったのです。
その一つとして、グラックス兄弟以降の悲願であった農地法改革にも取り組みます。ホルテンシウス法を持ち出して市民集会決議を強行するのですが、このときの群集の心理をついた立ち回りが見事でした。元老院派の急先鋒である小カトーや論客キケロを退け、演説が必ずしも得意ではなかったポンペイウスを「のせ」て、フォロ・ロマーノの丘に集まった聴衆を大歓声に導きます。市民の熱狂的な支持を受け、流血なしで農地法は成立したのでした。カエサルの人心掌握術の真骨頂が描かれている場面です。
それにしても、自分の妻を寝取ったカエサルと同盟を結び、さらには親子ほどの歳の開きがあるカエサルの娘を妻に迎えたというポンペイウスも只者ではないと感じましたが、一事が万事、このようなやり方で周りの人たちを懐柔し、心酔させることで、地中海を制した凱旋将軍ポンペイウスでさえ丸め込んでしまったカエサルこそ、偉大な人物だったということでしょう。あたかもオセロゲームの駒が、カエサルによって一個ずつひっくり返されていくのを見ているようです。
以上 文庫版「ユリウス・カエサル ルビコン以前(中)」より。

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