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【ローマ人の物語10】カエサルによるガリアの征服

8年間にわたるガリア人との戦いを経て、カエサルは悲願のガリア征服を成し遂げました。

p146 カエサルが、ポンペイウスをはじめとする彼の同時代人とちがって、元老院よりも市民の支持に賭けたからだ。それならば、支持を求める相手には、判断をくだせるだけの情報が与えられねばならなかった。

思い返せば、カエサルが執政官に就任した時の初仕事は「情報公開」でした。元老院での審議内容を、フォロ・ロマーノの建物の壁に貼り出したのです。当時では画期的なことでした。反カエサル派のキケロや小カトーが演壇というマスコミを活用したのに対し、カエサルは見事な文章力で対抗したのです。「ガリア戦記」の執筆こそ、市民の支持を手にするためのカエサル流のマスコミ活用だったと。映画「クレオパトラ」では、エジプトの誇り高き女帝クレオパトラが、尊敬の態度で「あなたの書いたガリア戦記読んだわよ。」と囁くシーンがあります。カエサルは、優れた戦術家であるとともに、才能に恵まれた文筆家でした。この後間もなく、ブルータスに暗殺されてしまいます。

p96 首都ローマにいる元老院議員にとってのヴェルチンジェトリックスは、他の野蛮な民族と同じ、長髪のガリア人の一人にすぎなかった。しかし、前線にいるカエサルは、そうは見なかった。

団結心の希薄なガリア人を統率した若き総大将について、若き日の自分自身の姿を投影したのでしょう。カエサルはガリア戦記の中で次のように書いています。
敗北は、多くの場合総司令官への信頼を失わせるが、彼の場合は、敗北を喫してからのほうが、彼に寄せられる信頼が強固になった。
カエサルが欲しかった人材に違いないのですが、「そのような逸材は敵側にしかもてなかったという例で満ちている」というところが、残酷な運命のめぐり合わせを感じさせます。
文庫のまえがきに、カバーの銀貨についての説明があるのですが、ガリアの敗将であるヴェルチンジェトリックスの顔がなぜ通貨に刻まれているのか?塩野氏は、それはカエサルの深謀遠慮なのだといいます。ローマ人たちがこの銀貨を手にするたびに、カエサルによってローマの属州となった広大なガリアを思い起こすだろうという強かな計算があったのです。カエサルにしてみれば、元老院体制の打倒をめざすカエサルにとっては、市民の支持を得るためにも、自分の貢献を広く宣伝する必要がありました。
ガリアの最後の砦であった「アレシアの攻防戦」こそ、ブリタニアをふくめたピレネー山脈からライン河に至る地方の以降の歴史を決定した出来事であったと研究者は言っているようです。
以上 文庫版「ユリウス・カエサル ルビコン以前(下)」より。

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