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KAFKA(カフカ)

最近何かと気になる「カフカ」です。オースターの書評を読めば比較対象として作家カフカの名前が、そして先日レンタルビデオ屋にいった時のこと、そのものずばり「KAFKA~迷宮の悪夢」というタイトルが目に入りました。監督はスティーブン・ソダーバーグ、どこかで聞いた名前だと思えば、いま話題の「オーシャンズ12」を手がけた監督さんだったのですね。
物語ですが、カフカ自身を主人公にしたサスペンスです。昼は保険会社の事務員として働き、夜は小説を書くという単調な生活を送っていたカフカ。ある日突然、数少ない友人の一人が失踪します。調査を進めていくにつれ、背後に管理社会プラハの権化ともいえる「城」の謎が浮き上がってきます。
カフカが書いた小説のファンであった石工(自らも石を刻むアーティストだと思っている)が見つけた墓石から城に通じる地下道は、街で疫病が流行ったときの裏通路だったといいます。城に入ったときからはじまる悪夢は、急に鮮やかなカラー映像になります。迷路のような城のなかでは、能率的に働く人間をつくるために人体実験が繰り返されていたのでした。天才科学者が発明した脳を覗く巨大な顕微鏡が何ともリアルで不気味です。それまでモノクロ映像で表現されていた「暗黒の街プラハ」という現実が、悪夢になったとたんにカラーになるという演出が面白かったです。そして城を出ると、映像はふたたびモノトーンに切り替わります。別れた恋人とカフェで歓談していたのは、城で実験台にされていた男ではなかったでしょうか。ラストシーンで小説を書きながら血咳するシーンがありますが、まさに疫病(結核)で逝去したといわれる生涯を再現したものだったのだと後で知りました。カフカを演じたジェレミー・アイアンズが、感情の起伏のない演技で、孤独感、不安感を絶妙に表していたと思います。
実存主義とか、精神分析とか、そんな言葉を聞いただけで気おされてしまうカフカ文学ですが、無理に「分かろう」としたのがいけなかったかもしれません。気楽に「味わう」つもりで映像から入ってみると、思ったより楽しめた作品でした。

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