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【ローマ人の物語12】来た、見た、勝った

「内乱記」のなかで、盟友ポンペイウスの死について「アレクサンドリアで、ポンペイウスの死を知った」とたった一行、芸術的に表現したカエサルは、内紛のエジプトでクレオパトラを助けます。クレオパトラ物の映画では、図書館炎上のシーンが有名なアレクサンドリア戦役ののち、エジプトはローマの同盟国にもどります。さらにカエサルは、エジプト遠征の帰りに、小アジアで反旗をひるがえしたポントス王ファルナケスとの戦いにも勝利しますが、そのとき元老院あてに送った戦果報告を次の三語ではじめたといいます。

p19 「来た、見た、勝った」

050310
原文のラテン語では、"VENI、VIDE、VICI"という三語ですが、フィリップ・モリス社のタバコ「マールボロー」の箱にも刻まれているそうです。いつも簡潔、明快なカエサル流ですが、"勝利の方程式"といったところでしょうか。現地踏査の労を惜しまず、自ら進んで現場におもむくという意味で、この地にも「来たぞ!」という叫び声が聞こえるようです。また、「見た」には、斥候をつかった調査や、念入りに周辺の地理情報を把握するという意味だけではなく、すでにカエサルにはどう戦うべきかが「見えていた」という意味が込められているように感じます。頭のなかに広がる戦略マップの中で、すでに勝つことを「見た」のであって、実際戦ってみたら当然の帰結として「勝った」のだと淡々と報告しているようです。
ちなみに、自動販売機の前に「来た」私は「見た」のですが「買わなかった」のでした。無期禁煙中ですから。

p98 「市民たちよ、女房を隠せ。禿の女たらしのお出ましだ!」
これではあんまりではないか、とカエサルは抗議したのだが、カエサルと12年間も苦楽をともにしてきたベテラン兵たちは、敬愛する最高司令官の抗議でも聴き容れなかった。

ローマでの4度に分けての凱旋式の挙行は、ガリア戦役、アレクサンドリア戦役、ポントス王ファルナケスでの戦勝、そしてポンペイウスの残党を追撃した際のヌミディア王ユバに対する戦勝という、4つの勝利を祝うものだったといいます。凱旋式で、このように唱和されたカエサルが、いかに部下たちから愛されていたかがわかるエピソードです。
以上 文庫版「ユリウス・カエサル ルビコン以後(中)」より。

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