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【ローマ人の物語13】野心だけが先走った女

roma13塩野氏によるクレオパトラ評です。きびし~い。(^^;
この本の後半は、いわゆるシェークスピアの「アントニーとクレオパトラ」の展開そのものなのですが、映画クレオパトラや映画レジェンド・オブ・エジプトで描かれていた高貴で妖艶な古代エジプトの女王という人物像とも違っていておかしかったです。さらに、映画では悲劇のヒーロー風に描かれていたアントニウスにいたっては、次のように酷評されていました。ナイル河で釣り遊びをしていたアントニウスに対し、クレオパトラがかけた言葉です。

p156 「わたしの偉大このうえもない将軍様。魚を釣ることなどは、この辺りの猟師たちにお任せなさいませ。あなた様が釣るのは、都市であり王国であり大陸なのですから」
クレオパトラの与えるこのプラス・アルファが、アントニウスを酔わせたのである。
酔わない男であったカエサルゆえに意のままにすることに失敗したクレオパトラは、アントニウスに対しては、酔わせることにエネルギーのすべてを集中したのだろう。だが、これは、次席の器でしかない者に、主席もやれるという誤信を植えつけただけであった。

クレオパトラの野心に振り回された男の哀愁が感じられます。今日にもありそうな話ですね。

p222 「戦士で富はつくれるが、富では戦士はつくれない」

追い詰められたクレオパトラが霊廟にこもった真意について、ここに収められていたプトレマイオスの財宝を使ってオクタヴィアヌスと取引しようと考えたのではないか?という説に対し、塩野氏は、クレオパトラはローマ人の間ではこのように言われていたのを知らなかったのではないかと喝破しています。祖国ローマへの忠誠は、けっして金では買収できないローマ戦士の誇りなのだと。
このあたりは、アントニウスとオクタヴィアヌスが、ローマ世界を東方と西方に分けて再建しようとしたときに、富の豊かさだけを考えて東方を選んだアントニウスに対し、たとえ押し付けられなくても、おそらくオクタヴィアヌスはローマ市民権者の沢山いる西方を選んだであろうとする見方につながると感じます。ローマ帝国の強さの基盤は、あくまでも「ローマ人」にあったとする歴史観です。
以上 文庫版「ユリウス・カエサル ルビコン以後(下)」より。

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受信: 2005/04/22 19:08

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