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トロイ

映画トロイを観ました。かのアレキサンダーが愛読書にしていたというホメロスの叙事詩「イーリアス」が原作です。いまから3200年前、歴史上最大と言われるトロイア戦争のきっかけは、トロイの若き王子パリス(オーランド・ブルーム)がスパルタの王妃ヘレンを愛し、略奪したことでした。妻を寝取られたスパルタ王メネラオスは、トロイ侵攻の口実を得たと考えるギリシア王であり兄のアガメムノンとともにトロイに攻め入ります。

ギリシア側の戦士アキレス(ブラッド・ピット)が戦う理由は、歴史に名を残す英雄になりたいという野心にあり、ギリシア王への忠誠や祖国への愛ではありませんでした。常にアウトローで無敵の戦いを誇ってきた獅子アキレスでしたが、トロイとの戦いを通じて人の心を取り戻していくストーリーに惹き込まれてしまいました。蝶のように跳び一刺しで大男を仕留めた冒頭のシーンや、パリスの兄でありトロイ最強の戦士であるヘクトル(エリック・バナ)との決闘シーンなど、剣闘士モノを思わせる一騎打ちの名シーンが印象に残ります。

一番好きなのは、祖国に残してきたわが子を思い、焚き火のまえで木馬を彫っていた兵士をみて、オデッセウスが"トロイの木馬"を閃いたシーンです。このときオデッセウス(ショーン・ビーン)は、難攻不落のトロイの城壁をいかにして崩すかという策士の思いと、友であるアキレスがプリアモス王とじきじきに交わした無謀ともいえる密約(ヘクトルの死に礼を尽くし12日間停戦とする)をどうやって守るかを考えていたはずです。

トロイの木馬をはじめとして、ギリシア神話など歴史上のエピソードがふんだんに盛り込まれている点も楽しめます。死んだ戦士を葬る儀式で、両目のせた2枚の金貨が黄泉の川を渡るための船賃を意味することをはじめて知りました。また、トロイ落城のとき、パリスの放った弓矢がアキレスの唯一の弱点であった足首を貫きます。いわゆる"アキレス腱"の由来ですが、アキレスが生まれたときに、母親が息子の終生不死を願い、身を浸せば不死身の肉体が得られると信じられていた冥府の河に、赤ん坊の足首をもってをもってドボンとつけ込んだという伝説からきているようです。ようするに足首の部分だけが水に浸かることなく、唯一アキレスの弱点になったというわけです。このあたりのエピソードについては、阿刀田高さんの小説「ギリシア神話を知っていますか」が軽いタッチで面白く読むことができます。なお、このとき炎上するトロイから逃れた落人こそ、のちのローマの建国者、ロムロスの子孫にあたるといわれており、小説「ローマ人の物語」もここからスタートしています。

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» 「トロイ」 [Cinemania 〜ムム's selection〜]
と〜っても長い映画でした。紀元前のギリシャ。トロイの王子パリスがスパルタの王妃と駆け落ちをしたことから、トロイはギリシャ全軍の攻撃を受けることになる。ホメロスの叙事詩“イリアス”の映画化。「女は話を複雑にする」そんなセリフがあったような気がしますが、その通りです... [続きを読む]

受信: 2005/05/06 02:22

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