歴史教科書は何が問題なのか?
4月6日付の各紙の社説を比較するだけでも、歴史教科書についてどういう点が問題なのかについて、いろいろな主張を知ることができ大変勉強になりました。特に、各紙が何を批判しているのか?という切り口で眺めると、考えさせることが多かった気がします。
●諸外国(特に中韓両国政府)への批判
検定結果について、中韓両国政府が反発の動きを見せているが、これは明らかな内政干渉だ。 教科書制度は国家主権に属する問題である。これを揺るがすような外国の圧力は決して許されない。読売新聞の主張はこんな感じでした。
●「つくる会」への批判
「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書は、近現代史を日本に都合よく見ようとする歴史観が貫かれておりバランスを欠いている。これは朝日新聞の主張です。
●検定制度(政府与党)への批判
政府の見解どおりにしなければ合格しない現制度はおかしい。これでは国定教科書と同じだ。「検閲」ではなく事実や通説との違いを直す役割に徹するべきだ。時々の社会情勢に翻弄されることで教科書の内容が恣意的なものにしないためには、国の関与を薄めるしかない。朝日新聞や毎日新聞が概ねこんな感じのことを主張しているようです。
●教科書執筆者(社)への批判
元と高麗が日本を襲った元寇を「遠征」と書き、豊臣秀吉の朝鮮出兵を「侵略」としたり、日本が中国や朝鮮半島で行ったことを「侵略」としながら、旧ソ連の中立条約を破った満州侵攻を「進出」とするなど、産経新聞では、全体的にバランスを欠いた記述の教科書が多いことを問題視しており、日本には自虐史観が残っていると指摘しているようです。
一口に歴史教科書問題といっても、これだけ多くの捉え方があるので、何が問題なのか?について議論する際には、まず議論の範囲を絞る必要がありそうだと感じました。
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