« YS2位浮上 | トップページ | 藤井が投げ、青木が出れば、岩村が打つ、スワローズ圧勝! »

火車

あなたは借金地獄に落ちていく人に対してこう思ってますね?

「まともな、ちゃんとした人間なら大丈夫なはずだ。多重債務を抱えるのは、やっぱり本人に何らかの欠陥や欠点があるからなのだ、と。違いますかな?」
失踪した若い女性、関根彰子を追う刑事、本間俊介に対して溝口弁護士が投げかけた問いです。本間刑事ならずとも、図星の指摘に読んでいてドキッとしました。
背負ってしまった借金のおかげで、リセットの効かない人生を歩むしかなくなり、棄民となって社会の裏側でしか生きられなくなる人々を、自業自得だと切り捨てる社会の姿。実は小説の中だけの話ではなく、我々が生きている社会の現実であり、自分の力ではどうしようもない絶望的なリアリティがあって恐ろしかったです。
もしリセット効くのなら・・・という望みを、世の中から「わたし」を抹消し、赤の他人である「あなた」に成り変わることで実現しようとする完全犯罪の計画が、「自己破産」という本来なら人生をリセットするはずの最終手段が仇になって綻びはじめるところなど、宮部みゆき作品の巧さなんでしょうね。
完全犯罪を企てる女の意外な過去が明らかになるにつれ、何とか救ってやりたいと思う気持ちすら生まれるのは不思議な感覚ですが、どんどん追い詰められていくストーリーのなかで、どうしようもない「やるせなさ」に打ちのめされたというのが率直な感想です。
結局、最後まで本間が直視することなく、言葉も交わすことがなかった新城喬子の後姿が語る結末は、あまりにも寂しく衝撃的でした。


|

« YS2位浮上 | トップページ | 藤井が投げ、青木が出れば、岩村が打つ、スワローズ圧勝! »

コメント

おっしゃる通り、宮部作品の唸らせる構成力ですね。
ラストの衝撃こそ、実は宮部さんの人間観、そして男性観であります。

投稿: ミセス宮部 | 2005/06/30 20:18

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/24960/4738644

この記事へのトラックバック一覧です: 火車:

« YS2位浮上 | トップページ | 藤井が投げ、青木が出れば、岩村が打つ、スワローズ圧勝! »