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淋しい狩人

事件はいつも本から始まる。まずこのアイデアと構成がすばらしいですね。
東京下町にある古本屋の雇われ店主であるイワさんと、"不出来な"孫の稔(みのる)少年が、本をきっかけに起こる謎を解いていくという素人探偵物的な趣向のミステリー6篇です。いずれも、イワさんと稔の軽妙なやりとりが面白かったです。

個人的には表題作の「淋しい狩人」が一番よかったです。クライマックスとともに、周囲をヤキモキさせた稔と年上女性との恋愛事件が、きわめて現実的な結末に落ち着くのは、一連の宮部作品に通じるリアリズムのようです。「歪んだ鏡」では、古本に挟まれていた名刺の意味に思いをめぐらせ、勇気をしぼって行動を起こすことで由起子が知りえた真相も、冷徹すぎるほど現実的です。必ずしもハッピーエンドでないながら、ハートウォーミングな読後感を味わえる作品でした。

1作目「六月は名ばかりの月」
2作目「黙って逝った」
3作目「詫びない年月」
4作目「うそつき喇叭」
5作目「歪んだ鏡」
6作目「淋しい狩人」

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