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となり町戦争

行政手続にしたがって粛々と進められる、となり町との「戦争」。
広報だよりには戦死者の数が公表され、人が死んでいるにもかかわらず一市民として実感がない、自分の住んでいる町が戦時中だというのに生活はいつもどおり。そんなある日、主人公である「僕」のところに、役所から一通の文書(偵察業務の任命)が届き、役場の女性職員である香西さんと偽装結婚し、となり町に潜伏する任務が与えられるのでした。

自治体の公共事業として「戦争」が行われるという近未来の物語はあまりにシュールです。「ありえない」といえばそれまでですが、近い将来、社会・経済が閉塞状況におかれ、この物語に描かれているように全体利益のための効率が最優先され、人々がお互いに無関心になり、議会で決められた法律だけが絶対の判断基準となる社会がやってきたとき、われわれはそれでも戦争にNOと言えるのだろうか。事務的に淡々と進められていく戦争に、怖さと苛立ちを感じてしまいます。

物語の中で香西さんが何度も繰り返しているように、「戦争」というものを自分たちの常識やイメージだけで限定してしまう危うさこそ、この本に込められたメッセージではないでしょうか。

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コメント

最近読む本まで一緒になってきたね。

この本は、私の今年の「装丁ベスト1」です。物語も途中まではすごく面白くて、主人公の上司などはホントよく書けているなあと思いました。

なによりも凄いのは、事業計画という枠組みに「戦争」を組み込んでしまう着想ですよね。非営利である官公庁に営利の概念が入る、そして日常の中に非日常の概念が忍び寄る。こういう二項対立的な世界をうまく描けているとは思っていたのだが・・・
惜しいのはラストの展開

あれは画竜点睛を欠いたな。

投稿: koga | 2005/10/02 01:26

kogaさん、コメントありがとうございます。
同じ本を読んでいたとは知りませんでした。いよいよ思考パターンが同化してきた証拠でしょうか。

投稿: cozy | 2005/10/03 00:24

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