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モビィ・ドール

クマ、オオカミ、と続いた山の物語のあとは、イルカ、シャチを描いた海の物語です。
人間とクジラとの対決を描いたメルヴィルの名作「白鯨」(=「モビィ・ディック」)とは対照的で、オスの背びれを持ったメスのシャチ「モビィ・ドール」が象徴しているのは"自然回帰"というテーマのようでした。
このモビィ・ドールの境遇に重なり合ってくるのが、海やイルカを愛する登場人物たちです。彼らは、「白鯨」のように自然を支配したり征服しようとするのではなく、自然との共生というやり方で"自分らしさ"を発見し、自分たちの弱さを克服していこうとします。自然のまま、欠点を含む「ありのまま」を受け入れることは、ある意味とても残酷ですが、それらを乗り越えられる人間の強さ、命の尊さに勇気づけられます。
「オルカの回廊」という最終章のタイトルがCool!でした。モビィ・ドールが仲間たちに助けられ、まさに自然回帰へ向かう海の回廊を悠々と去っていくシーンは感動的です。

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コメント

どーも、コメントいただきましたよーすけどんです。
最近のエコロジー志向は良いけれども、自然と「共に生きる」といった部分にだけ傾いていて、「共に死ぬ」といった部分には目を背けているような気がします。
熊谷達也の作品にはそこがきちんと、目をそらさずに描き込まれている。それがよい。
東北に住み、東北の自然を舞台にしてきた作家が書いた海洋ロマン。興味ありますねえ。

投稿: よーすけどん | 2005/12/29 19:16

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