« ワシに負けた | トップページ | 広町緑地 »

わが国の高等教育に見るeラーニング

久々に放送大学のテレビ番組を視聴しようと思い立ちました。
「人間情報科学とeラーニング」の第9回になります。今回は各大学におけるeラーニングへの取り組みの事例紹介でした。

信州大学インターネット大学院
リカレント教育の役割を担うべく、働く社会人にも門戸を広げたのが2002年。実際、30代から40台の社会人が中心で、学生の9割はフルタイムで仕事をもつ人だそうです。多くの人が家計をやりくしりながら、2年間で約130万円の学費を支払ことから、モチベーションが違うといいます。印象的だったのは、いつでも、どこでも、そしてだれでもが学習できるeラーニングをめざしている点です。教材は英語、中国語に対応していることに加え、視覚障害者向けのユニバーサルデザイン(読み上げ教材等)を実装しています。

東北大学インターネットスクール(ISTU)
いつでも、どこでも、というよりは、むしろ新しい教授内容や教授方法を実現するうえでeラーニングの可能性を感じるという村木先生のインタビューが新鮮でした。パソコンやインターネットでしかできない教授方法として、特に、診断テストとフィードバックの重要性を指摘されています。米国で活用されている医学分野でのシミュレーションテストなどを日本でも実用化していくためには、教える、評価する、測定するといった人間科学分野での研究や知見も今後ますます不可分になっていくだろうと野嶋先生がコメントされていました。

園田学園女子大学 インターネットキャンパス
ユニットという概念にもとづいてモジュール化された教材をつくり、学生の個別学習を支援していくようなeラーニングの活用が紹介されていました。定時制の学校に勤務された経験が、「個別学習からグループ学習へ」という基本思想につながった、という山本先生のお話に感銘しました。定時制では仕事の都合でどうしても遅れてくる子がいるようですが、重要なことを話した後に教室に入ってきても、きっと理解していないだろうなあと思いつつ授業を進めていて、あるとき気づいたそうです。グループに個人を入れるような教育をしていたのだと。
園田学園のもう一つの特徴は、このような自己学習に加え、1クラスに6~7名からなるTAやSAと呼ばれるサポート隊の支援によって、孤立しがちな学生をフォローし、学生たちがともに学べる環境をつくっていることです。つまり、コンテンツづくりから授業サポートまで、このような人々の介在なくしては現場が回らないということです。バーチャルかリアルかを問わず、コミュニケーションの場をいかに設定し、それをトータルにコーディネイトしていく人材の育成が課題であると述べていた堀田先生のコメントに、そのことが端的に表れていると思いました。

一口にeラーニングといっても、大学ごとにそのアプローチや考え方が違っていて興味深かったです。

国内では、eラーニング元年と呼ばれる2000年頃から、eラーニングの話といえば、まず決まってビジネスの投資対象として語られてきた感があります。しかし、当時4000億円とも評された市場は、いまどれだけ成長しているのでしょうか。教育現場での真摯なeラーニングへの取り組みを知るにあたって、ICTを活用した教育ビジネスで儲けようとするまえに、学習や教育にいかにICTを活用するのかという原点に、もう一度立ち返らなければならないと強く感じます。

|

« ワシに負けた | トップページ | 広町緑地 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/24960/41428671

この記事へのトラックバック一覧です: わが国の高等教育に見るeラーニング:

« ワシに負けた | トップページ | 広町緑地 »