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PMBOKガイド第4版

12月にPMBOKガイドの第4版(英語版)がリリースされました。
マネジメントプロセスは、第3版では全部で44プロセスありましたが、第4版では42プロセスになったようです。以下に主な変更点を挙げておきます。
・統合マネジメントの「プロジェクト・スコープ記述書暫定版作成」が削除された。
・コミュニケーションマネジメントに「ステークホルダー特定」が追加された。
・調達マネジメントにあった6プロセスが、「調達計画」「調達実行」「調達管理」「調達終結」という4プロセスに集約された。
・「プロジェクト終結」→「プロジェクトやフェーズの終結」
・「スコープ計画」→「要求事項定義」
・「コストの予算化」→「予算設定」
・「プロジェクトチームのマネジメント」(監視コントロール)→ 「プロジェクトチームのマネジメント」(実行)
・「ステークホルダー・マネジメント」(監視コントロール)→「ステークホルダーの期待マネジメント」(実行)
・「リスク識別」→「リスク特定」

また、第4版の刊行にあたって、以下の説明がされています。
「要求済み変更、予防処置、是正処置、欠陥修正の議論に関しては、標準的アプローチを採用した。」
何のことだろう?と思って注意深くみてみると、第3版のときにインプットやアウトプットに記述されていた変更(Changes)、変更要求(Change Requests)、是正処置(Corrective Actions)、予防処置(Preventive Actions)、欠陥修正(Defect Repair)等は、第4版ではすべて、変更要求(Change Requests)または承認済み変更要求(Approved Change Requests)に統一されているようです。また、それらの頭にくっついていた要求済み(Requested)、提案済み(Recommended)、承認済み(Approved)、実施済み(Implemented)、更新版(Updates)等の表現が消えていました。

つまり、第3版では、どんなAction(変更、変更要求、是正処置、予防処置、欠陥修正)を施し、それぞれがどんな状態にあるのか(要求済みなのか、提案済み(なのか、承認済みなのか、実施済みなのか、計画自体が更新されたのか)を個別に細かく記述していたけれども、第4版では、統合マネジメントに働きかけるActionをすべて「変更要求」とし、それが承認されたのか承認されていないのかだけを管理するようになった、ということだと思います。

計画(Plan)と実行(Do)の差異をCheckし、必要なActionを施すというPDCAのマネジメントサイクルを、よりシンプルにしたと考えることができそうです。これこそが「標準的アプローチ」なのではないでしょうか。実際、第3版ではRequestedとRecommendedの違いがよく理解できなかったので、個人的にはすっきりした感じです。

その他では、アロー・ダイアグラム法(ADM)が削除されていたり、Interpersonal Skills(対人関係スキル)を説明した付録が追加されたりしています。対人関係スキルには次の8項目が挙げられていますが、かなり雑に訳してみたので間違いがあったらご容赦を。

Leadership:
一般論として、リーダーシップは人を通じて事をなす能力だといわれる。威嚇や服従ではなく、尊敬や信頼にもとづく効果的なリーダーシップを発揮しなければならない。効果的なリーダーシップの発揮には、ビジョンが共有され、関係者が動機づけられている立ち上げフェーズが特に重要である。

Team building:
優れたリーダーシップと良好なチーム形成は、チームワークをもたらす。チーム形成活動は現在進行形で行われるべきものであり、プロジェクトをとりまく環境変化にあわせて、プロジェクトマネジャーはチームを維持継続させる努力をしなければならない。

Motivation:
プロジェクト活動における動機づけは、メンバーに最大の満足をもたらす。それらは、経済的報酬にも換えがたい達成感や成長、職務への充実といったものである。

Communication:
コミュニケーションは、プロジェクトの成否を決定づけるもっとも大切な要因として捉えられてきた。プロジェクトマネジャーは、組織、文化の違い、メンバーの個性など、状況に応じて効果的なコミュニケーションスタイルを意識しなければならない。なかでも傾聴スキルは重要だ。

Influencing:
影響力は、メンバーを協働させ、共通目標に向かわせるために不可欠なものである。率先垂範すること、意思決定を明確にすること、メンバーに合わせて柔軟なスタイルをとること、長期的な協力関係をつくることなど。

Decision making:
プロジェクトマネジャーが使う典型的な問題解決スタイルには次の4つがある。命令、相談、合意、運任せ。そこには時間的制約、信用、品質、承認などが作用する。プロジェクトマネジャーやチームは、しばしば、次に示す問題解決の6段階モデルを使う。①問題定義、②解決策作成、③優先順位づけと選択、④行動計画、⑤計画の評価、⑥ノウハウの獲得。

Political and cultural awareness:
グローバルな環境でプロジェクトを進めるためには、文化の違いなど多様性(Diversity)への理解や配慮が求められる。

Negotiation:
ネゴシエーションは、関係者と意見交換したり合意するための戦略である。ネゴシエーションを成功に導くには、次のようなスキルが有効だろう。状況分析、ニーズとウォンツの識別、地位や役職ではなく関心事にフォーカスする、現実的な価格交渉、Win-Winなど。

まあ、第3版から第4版へのバージョンアップにあたって、根幹にかかわる大きな変更はないと思われます。あえていうなら、英語版においてすべてのプロセス名が「名詞+動詞」の形式に統一されるなど、表記が洗練され、より分かりやすくなった印象を受けました。

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コメント

Houses and cars are expensive and not every person is able to buy it. But, business loans was created to support people in such kind of cases.

投稿: GibsonANNIE33 | 2012/08/17 07:22

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