浅田次郎

壬生義士伝

何度観ても切ない物語です。
郷土愛、家族愛について考える教材にしてはどうでしょうか。
親は、自分の生き様を、胸をはって子どもに伝えることができるだろうか。

貫一郎(中井貴一)から、ずっと「斉藤先生」と慕われていた斉藤一(佐藤浩市)。
回想シーンでは、貫一郎の娘を「吉村先生」と呼び返し、涙ながらに礼をいいます。
新撰組でともに義を貫いた男たちの友情にも、じんとさせられます。

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銀色の雨

梅雨を思わせるような天気が続いています。
浅田次郎の「月のしずく」という短篇集に、「銀色の雨」という作品があったのを思い出しました。ヤクザに匿われた殺し屋、その世話役の学生、キャバレー勤めの恋人という奇妙な三角関係が描かれています。
降りしきる雨の描写から、彼らの心の動きが伝わってくるようです。

道頓堀のネオンが滲んでいる。和也は窓辺に身を乗り出して、降りしきる雨を見ていた。雨粒は銀色の縫い針のように輝きながら、寝静まった街路に吸い込まれて行く。

ネオンに照らし上げられた夜空を、銀色の雨が縫っていた。まるで映画のスクリーンに歩みこむように、岩井は外廊下に出た。

そして、「じきに夏が来るぜよ」という殺し屋の最後の言葉。
映画を観ているような気分になる「銀色の雨」には、松山千春が歌う「銀の雨」の雰囲気がよく似合うと思いました。
月のしずく

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地下鉄に乗って

地下鉄に乗ってタイムスリップする主人公。
過去に溯りながら、徐々に明らかになっていく父の意外な過去。
地下鉄の階段を上った出口に広がる世界は、飢えと貧困にある戦後の闇市であり、アールヌーボーに象徴される平和な銀座の街並みでした。そんな昭和という時代を、体をはって必死に生きていたアムールやお時が、まさか自分の人生に関わっていようとは。。。
「ねえ旦那、その尋ね人って、恨みのある人ですかい、恩のある人ですかい」
父を探していて、アムールが何気なく聞いてきたこの問いには、実は深い洞察があったのですね。

時間旅行によって、過去のからくりのすべてを知った主人公が、たった一人、現実に引き戻されるシーンには胸を締めつけられるような思いがしました。過去のうえに現在がある、親のおかげで自分がいるという事実にホロリとさせられ、しっかり生きなくてはという余韻がジワりと効いてくるのは、同じく昭和時代へのタイムスリップを描いた宮部みゆきの蒲生邸事件にも通じるものがあるような気がします。
評判どおりの、思わず涙がこぼれ落ちる感動の浅田ワールド、だと思います。

追記.
この作品も映画化されるようですね。
主演は堤真一、大沢たかお、2006年11月公開予定とか。

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天国までの百マイル

人間はここまで優しくなれるものだろうか。
涙。。。

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シエ

顔はキリンで角はシカ、足がウシで尾はトラ、体全体が鱗で被われているという伝説の動物です。浅田次郎の傑作短篇集「姫椿」にでてきます。
先日コメントくださった紅和歌姫さんのおすすめということで、早速読んでみました。この作品が好きだという人は間違いなく「優しい人」だと、そう思いました。
個人的には、その次の「姫椿」も気に入りました。ただし、主人公の椿湯での出来事が幻想でないことを期待します。
1作目「シエ」
2作目「姫椿」
3作目「再会」
4作目「マダムの咽仏」
5作目「トラブル・メーカー」
6作目「オリンポスの聖女」
7作目「零下の災厄」
8作目「永遠の緑」

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あなたに起こる やさしい奇蹟

昔、新宿の辺りを角筈(つのはず)と呼んでいたらしい。
この本には「鉄道員(ぽっぽや)」をはじめ、浅田次郎の短篇8作品が収録されています。表題は初版に用意されたというキャッチコピーだそうです。
鉄道員はもちろん大好きですが、それ以上に「角筈にて」が好きです。少年の頃の回想シーンに泣かされます。いずれも「ホロッとくる」感覚がたまらない名作です。
1作目「鉄道員」
2作目「ラブ・レター」
3作目「悪魔」
4作目「角筈にて」
5作目「伽羅」
6作目「うらぼんえ」
7作目「ろくでなしのサンタ」
8作目「オリヲン座からの招待状」

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